ゆるら短歌diary

ゆるらと、短歌のこと書いていきます  

2021-01-01から1年間の記事一覧

中林祥江歌集 『草に追はれて』を読む

歌集から、土のにおいがする。畑をわたっていく風を感じる。陽のひかりや、生きものたちの息づかい、ありとあらゆる自然のいとなみを感じることができる。 作者は、土まみれになりながら、農に生き続けている人である。 考へて思ひあぐねし時いつも無花果畑…

涼閑・川柳句集 「瓶からあふれだす夜空」 を読む

歌人であったはずの「紀水章生」が、いつのまにか川柳を詠む「涼閑」とという顔をも持ち合わせていた。 わずか、一年半ほどの間にである。 なぜ、この短い間に、「川柳」という十七音の短詩型が、彼をこれほどまでに魅了したのか。 あふれだした、そして今も…

田中律子 歌集 『森羅』を読む

まどろみのなかに広がる風景のようで、なつかしく、さびしい。どこまでも、どこまでも続く星空の下、波の音が聞こえる。遠くにひとすじの灯りが見える。夜汽車だろうか・・舟かも知れない何処にむかっているのだろうか。 そんな装丁を見つめながら、田中律子…